JA全中と順天堂大学などは7月10日、体験型農園での農作業にストレス軽減効果があることを実証した研究成果を発表した。
体験型農園利⽤者の唾液のホルモン計測による検証の結果、農作業の前後でストレス軽減、幸福度の増加といった傾向が確認され、農園における農作業のストレス軽減効果の有効性が証明された。
JA全中は、体験型農園にストレス軽減効果があることが、科学的にも証明されたことをふまえて、体験型農園の利用者の拡大を図るとともに、従業員のストレス軽減など企業との連携をすすめるとしている。
練馬区の農業体験農園で40名の利用者を対象に実証
この実証のための対象者は、練馬区の農業体験農園「百匁の里」の利用者40名で、研究の同意を得て、農作業の前後に唾液から4つの成分を測定し、併せて感情プロフィール・テスト「POMS2」を実施した。
唾液成分はELISAにより解析した。
また、本研究は順天堂大学倫理委員会の承認の上で実施された。
アミラーゼが減少 農作業でリラックス状態に
アミラーゼは、緊張した状態が続くと唾液内の含有量が増加します。
農作業の前後でアミラーゼの顕著な減少が見られ、緊張が緩和されてリラックス状態となることが確認できました。
唾液中のアミラーゼ計測は、簡易的なストレス計測方法で、25から50が通常状態、20以下がリラックス状態の目安とされます。
コルチゾールが大幅な減少 高いストレス軽減効果
コルチゾールは、数時間の長期的なストレス変化を正確に示します。
農作業の前後でコルチゾールの顕著な減少が見られ、高いストレス軽減効果が確認できました。
コルチゾールは、ストレスにおける脳下垂体由来のホルモンで、心理ホルモンと呼ばれます。
クロモグラニンの変化との比較から、短期的なストレスよりも、長期的なストレス効果が高いと言えます。
クロモグラニンが緩やかに減少 短期的なストレスに緩和効果
クロモグラニンは、急速なストレスによって心身が硬直状態になったとき、突発的に唾液中の濃度が上昇します。
農作業の前後でクロモグラニンは緩やかに減少し、短期的なストレスに対して緩和効果が確認できました。
適度な農作業によって、身体の硬直や緊張を改善し、緩やかなリラックス状態が維持されると考えられます。
オキシトシンが緩やかに増加 農作業で幸福度が増進
オキシトシンは、別名“幸福ホルモン”と呼ばれ、幸福を感じると分泌されます。
農作業の前後でオキシトシンが緩やかに上昇しており、幸福度が増進していることが確認できました。
緩やかなオキシトシンの上昇は、急激な幸福度の上昇=興奮状態ではなく、適度に落ち着いた“ちょうどよい幸福感”を感じていると考えられます。
なお、この研究も含めて、JA全中による体験型農園のストレス軽減効果の検証に、(株)コミュニティ・アシスト・システムも参加しています。
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